2019年3月4日月曜日

(61)日本歴史実伝物語叢書. 2 曽我兄弟

「日本歴史実伝物語叢書. 2 曽我兄弟」昭和2
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1717463

私の好きな曽我兄弟。装画・挿絵、羽鳥古山氏。






珍しいなぁと思うのが、装画より挿絵の方が男前。(雑多な感想)

と、いやいや、そんなことではなく、肝心な仇討のシーンの挿絵が描かれていないんですよ。曽我本でこんなの初めて見ました。
ほかにも、曽我兄弟は歌舞伎の演目になったりと、脚色されてドラマ性が加味されているのが普通なのに、こちらの本は割と歴史に忠実。よく省略される王藤内も描写されています。巻き添えを食って亡くなったのに略されがち。

ただ、「頼朝暗殺未遂説」ならぬ、「頼朝報告未遂説」(?そんなのあるっけ?)が採用されているという点が謎。暗殺未遂説はwikipediaなどでも確認できますが、こちらの本では兄が弟に「頼朝公に、お目にかかって、敵討の次第を申し上げて死ねよ」と言い残して亡くなります。
暗殺と報告ではまるっきり違うわけですが、これは「暗殺せよ」という暗喩なのですかね?考えすぎ?

とまぁ、羽鳥古山の挿絵から離れた話になってしまいましたが、挿絵が無かったら見もせず通り過ぎてしまいそうな本なので、やっぱり挿絵って大切なんだと思った次第です。

無理やり〆ます。

(60)乃木大将

「乃木大将」昭和4
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1716156

挿画、羽鳥古山氏。詳しくはわからないのですが、日本画出身の挿絵画家の方のようですね。もっともデジコレに多い世代(印刷物が多く出回るようになり、かつ著作権が切れているハザマ世代)で、たくさん出てきます。
歴史画、なかでも鎧を描くのがお得意なのか、武将もののお仕事が多いですが、こちらはそれとはちょっと違って乃木大将。
装画とカラー口絵は美しいですね。口絵の塗り方がミレルに通じるものがあると思うのは私だけでしょうか。




日露戦争ものの挿絵画って意外に少なめなので個人的にうれしい。

羽鳥古山氏、カラー絵は艶やかな派手派手ものも多くてこれから要チェックです。

(59)嘉永水滸伝国定忠治実伝

「国定忠治実伝・嘉永水滸伝」明治19
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/880601






ちょっと残念スキャナの水野年方。
再版本だからかもしれません。この本はこの前年に清光堂から初版が出ていて、こちらは出版者・鈴木喜右衛門版です。

この時代、国定忠治の絵本が大ヒットしたみたいで、似通った本がたくさん出ています。この手の本にしては親切なのが、水野年方の挿絵がとても多いこと。有名画家の挿絵は1~2枚で、あとは記名無しの版画家が担当する本が多いなか、なかなかの良心設計。ここでは年方の絵のみピックアップしています。

実際の版はもっと繊細で美しいです。この版では年方のイケメン画が残念な感じなので、興味がある方は検索で探してみてください。
特に上から3枚目の忠治、めっちゃかっこいいです。背景で首ぴょーんって飛んでるけど。

(64) 訓蒙開智・第2/生徒の革提

「訓蒙開智・第2/生徒の革提 」明治24 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1919205 明記されていないのでサイン識別になりますが、月耕の門下生だった小川耕一さんの挿絵ではないかと思われます。